車いすで観光お台場調査報告

はじめに

お台場エリアに足を延ばしてきたA.S.です。今回は、列車と各駅のアクセシビリティを改めて確認するとともに、個人的に気になっていた施設や今後の調査対象候補と思われる施設を見てきました。

ゆりかもめ

お台場は近年開発されたエリアであることから街の作りに余裕がある半面、歴史のあるエリアに比べると見どころ間の距離が長い面もあります。

そこで役立つのがゆりかもめです。平日の日中は3~5分間隔、休日の日中は4分間隔で運転されています。主な施設の近くに駅があります。ホーム・改札間にエレベーターがあり、ほぼすべての改札・地上間にもエレベーターがあるかデッキで施設に段差なしに接続しています。改札内に多目的トイレがあります。

今回は新橋から入るのでゆりかもめ一日乗車券を使用しました。縦85mm×横57.5mmの磁気カードです。使用後に持ち帰れるので記念になります。

今回乗車して特に注目したのは、ホームと車両間の隙間と段差がほとんどないことです。

駅構内の線路が直線だからかと思いますが、ホームと車両間の隙間が本当に小さいです。車両床面がホーム面よりやや高いところを、黄色の「段差解消用スロープ」で補っています。スロープはホームドアいっぱいの幅があり、車椅子が脱輪する心配もなさそうです。
新橋、有明、豊洲以外の駅は原則無人駅で、改札のインターホンで声掛けして、停車時間を調整してもらったり、介助をしてもらえるとのことです。 
画像の車両では、座席収納式でない専用の車椅子スペースがあり、より安心です。

MEGAWEB トヨタシティショウケース

トヨタ車のテーマパークとして開設されているMEGAWEBの施設の一つ「トヨタシティショウケース」にはトヨタブランドの現行モデルが展示されています。今回は特にその中にある福祉車両コーナーを見ました。

他の自動車メーカーを含めても、ここは一か所に展示されている福祉車両の種類が東京地方で最も多い場所の一つと思われます。車椅子のまま乗り込める車両や、シートが回転して車外へせり出す仕掛けのある車両に加えて、印象的なしつらえの車両が2種類ありましたので報告します。一つは、乗客を乗せたままシートが回転して、車外に出てくるうえに、シートに備えられた車輪が展開されて電動車椅子として発進するものです。あらびっくり。シート(車椅子)の背面にバッテリが付いています。

もう一つは、本当に驚いたのですが、上半身だけを使って、ご自身で、車椅子から車両への乗降、車椅子の収納と取り出し、運転が可能な車両です。屋根の上の、ボートをひっくり返したようなところに車椅子が収納されます。

両腕両手だけで運転操作が可能な作りとのことです。

車椅子からの乗降はどうするかというと、車椅子で近づいて、運転席の側面に仕込まれている渡り板を手で展開してから、両腕でドアなどを持って自身の体を持ち上げ、渡り板を伝って運転席に移動します。

車椅子を車体に引き寄せ、リモコンを操作して車椅子格納用の吊り下げ具(画像に見える黄色い部品)を下ろし、車椅子に仕込まれている帯に引っ掛けます。

リモコンを操作し吊り下げ具を引き上げると、帯で吊り下がることで車椅子が畳まれ、ボートをひっくり返した入れ物に収まって、固定され、入れ物ごと屋根の上に収納されます。

このような車両がフィットするお身体の方が、道具の助けを借りながら、ご自身の動かせるところを使って、ドライブできるのは素敵ではないでしょうか。お一人のドライブだけでなく、お仲間を連れてお出かけを楽しんでいただけたらと思いました。ご説明とご実演をくださった係りの方に感謝いたします。ありがとうございました。

大江戸温泉物語

こちらには、日曜の午後7時ごろに到着しました。

その時間帯は退館者のピークだったらしく、受付のほぼ全数が退館手続きに使われていましたが、受付ごとの列に退館者が15名から20名ほど並んでいました。入館受付は1、2か所で、入館待ち客は一列に並んで、25分ほど掛かりました。お客様の4割くらいは見た目で外国人観光客と思われました。入館直後に貸浴衣に着替えることができます。建物内もやや混んでいましたが、車椅子で通行できそうと思われました。縁日っぽい雰囲気のボールすくいや射的の店がしつらえてありました(画像はブレています)。土休日に行われる大道芸人イベントを見ることもできます。

お風呂については、屋内の温泉浴槽が1mくらいの高所にあり階段を登って入る形であったり、屋外の露天風呂の手すりが一本で、足元が岩場風のしつらえになっていたりで、転倒の危険があります。日常生活で移動に手すりや杖などの用具や介助が必要な方には、数段手厚い体制(普段より数名多い介助者)の必要がありそうに思いました。露天は2つで、下見で訪れたときには外国語を話すお客様が多く入っていて、日本にいるとは思えない不思議な感じでした。午後9時ごろには退館受付ごとの列が2名とか1グループとかになっていて、時間は掛かりませんでした。

おわりに

今回は、お台場ならではの、印象に残った施設について報告しました。今回調査した施設やその他の施設についてアクセシブルメンバーで検討、調査を継続して 、情報をお伝えしていければと思います。こうした活動にご興味、ご関心がございましたら、赤十字語学奉仕団に加わり、アクセシブルに参加してみませんか? お待ちしております。

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