車いすで観光 すみだ北斎美術館

両国調査の後半、すみだ北斎美術館のバリアフリーについては、車いすユーザーの私、YUKORINがご案内いたしましょう。

すみだ北斎美術館

JR両国駅西口でアクセシブルのメンバーと待ち合わせ、お散歩しながら美術館へ向かいました。駅から美術館までは徒歩10分くらい。道中に段差や急な坂はなくスムーズに歩けました。ポカポカ陽気に、風情のある町並み、会話も弾みます。

すみだ北斎美術館に到着です。こんなに近代的な建物なのね。目の前は公園になっていて和やかな雰囲気でした。

三角形のスタイリッシュな入口。もちろん、段差なしです。Let’s go in!

この日は常設展を観覧しました。常設展は総合案内チケット売り場で障害者手帳を提示すれば観覧料金が本人と付添い1名まで無料になります。また、企画展の障害者割引についてはその展覧会ごとに異なるようです。なお、障害者手帳は展示室に入るとき、チケットの代わりに再度スタッフさんに提示するため、入室までバッグからすぐ出せるようにしておくといいですよ。

総合案内チケット売り場のすぐ近くに多目的トイレがあります。実際に利用してみて、見た目よりも少し狭く感じましたが、特に問題はありませんでした。ちなみに、美術館の中で多目的トイレはここだけです。

エレベーターは2機ありましたが、ちょっと小さめです。普通サイズの車いすなら1台ずつ乗ることになりそうです。

常設展示室の入口はこんな感じ。適当な広さで、混んでいなければ車いすですいすい通れます。

葛飾北斎は浮世絵で世界的にも著名な画家ですよね。ここで、北斎について簡単に触れておきましょう。葛飾北斎は江戸時代1760年に墨田で生まれ、多くの作品を墨田で描いたそうです。彼の代表作『富嶽三十六景』の中でも『神奈川沖浪裏』や『凱風快晴』(通称『赤富士』)は特に有名です。北斎の作品は画家ゴッホや作曲家ドビュッシーといった海外の芸術家にも影響を与え、1999年には、アメリカの雑誌『ライフ』の企画「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」で日本人としてただ一人選ばれました。

常設展示室の入口には、北斎の幻の作品とされる『須佐之男命厄神退治之図』が展示されていました。これは、関東大震災で失われた作品を最新技術と伝統技術によって100年ぶりに復元したというレプリカです。だいぶ上のほうに飾られてあり、車いすからだと見上げる感じでした。

この美術館で一番感動したバリアフリー対応は、これです! 絵の前に長いカウンターが設置されているのですが、ちゃんと車いすが入れるようになっていました。これなら車いすユーザーも距離を感じずに鑑賞できますね。

一方、カウンターの向こう側に展示ケースがました。こんなに遠くて低い場所に置かれたら中の展示物がよく見えません・・・。

そうそう。こういうふうに展示ケースだけを置いてもらえると、車いすで近づいて中を見ることができます。

作品の説明が表示されるタッチパネルは車いすでも触りやすい高さに設置されていました。英語・中国語・韓国語での表示も可能です。タッチパネル上で絵を拡大したりできるから、どれだけ絵が繊細で、細やかな色遣いがなされているか見ることができます。

これがかの有名な『神奈川沖浪裏』と『凱風快晴』なのね。富士山より大きな波や、赤い富士山と雲の絶妙なバランス、本当に面白い構図ですよね~。北斎の遊び心を感じます。

すみだ北斎美術館では、近代的な空間で江戸時代の日本文化に触れるという、なかなか面白い体験ができます。車いすユーザーの方々はもちろん、外国人の方々にもお勧めスポットです。さほど日本画には詳しくない私ですが、メンバーと共に葛飾北斎の世界を存分に楽しめました。帰り道、遅咲きの桜が私たちを優しく柔らかい空気に包み込んでくれました。

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