京王プラザ ボランティアプラザ 参加報告

こんにちは、アクセシブルでコーディネーターをしているJ.J.です。車いすユーザーのYUKORINとともに、年に一度開催される、京王プラザホテル主催のボランティアプラザに参加してきました!

京王プラザホテルは、早期にバリアフリー等障害者対応に着手し、日本でもユニバーサル対応を先導するホテルの1つです。今回は京王プラザホテルの取り組み、また障がい者理解を深めるイベントを参加者目線でお届けします。

補助犬デモンストレーション

2002年に身体障害者補助犬法が制定されましたが、まだまだ補助犬同伴を断られてしまうケースはあるようです。補助犬には役割別に、1)盲導犬、2)聴導犬、3)介助犬の3種類に分けられます。それぞれの補助犬がどのように障がいを持たれた方をサポートしているのか、1)公益財団法人 日本盲導犬協会、2)一般社団法人 日本聴導犬推進協会、3)社会福祉法人 日本介助犬協会による、実演を見学することができました。

1.盲導犬 – Guide dogs
盲導犬は目の見えない人、見えにくい人たちのお手伝いをしています。
主なお仕事は、

  1. 段差を教えるサポート(段差の手前で止まる)
  2. 障害物をよけるためのサポート(障害があったら前に立って歩行を止める)
  3. 曲がり角を教える

の3つになります。

段差の手前で停止する、盲導犬コトちゃん

2.聴導犬 – Hearing dogs
聴導犬は耳の聞こえない人、聞こえにくい人たちのお手伝いをしています。また、聴覚障害者は見た目には、健常者と見分けがつきにくい事が多いため、耳が聞こえないことを健常者に知らせるサインとしての役割もあります。主なお仕事は、タイマーやインターホン、目覚まし時計等の音を障がい者に知らせることです。勿論吠えて知らせるのではなく、パートナーのところに行き身体にタッチすることで知らせてあげます。

目覚ましの代わりに障がい者を起こす、聴導犬さやちゃん

3.介助犬 – Service dogs
介助犬は肢体不自由の方の日常をサポートしています。例えば、落としたものを拾ったり、服を脱がせ洗濯カゴに衣類を入れたり、冷蔵庫からペットボトルを取ってきたり、携帯電話をもってきたり等、パートナーのニーズに合わせて仕事は様々。オーダーメイドでトレーニングをしています。

冷蔵庫からペッドボトルを取り出す、介助犬ダンク

手話ワークショップ

手話のセッションでは、東北出身の手話パフォーマー、水戸真奈美さんによる、手話を使って実際に、となりのトトロの主題歌「さんぽ」と、「手のひらを太陽に」を歌いながら手話を学びました。“ありがとう”、“大好き”、“さようなら”、など歌詞を通じて、身に着ける事ができました。水戸さんは、学生時代の聴覚障害者との出会いで、手話を通じた会話を通じて目を見て話すこと、表情が大事で、表情豊かになることで元気になることに魅了されたのがきっかけとなり、今では手話を通じた活動を行っています。

水戸真奈美さんによる手話セッション

体験コーナー

実際に車いすに乗って障がい者の立場を体験したり、白内障の方の体験や、高齢者の身体の重さなどを体験するブースがありました。
車いすで実際の段差を体験、段差からおろすときは太ももで抑えるとサポーターの負担が軽減されます。

段差体験
白内障体験グッズ
実際に白内障と高齢者の身体負担を体験

ホテル内バリアフリー施設見学ツアー

京王プラザホテルの障がい者対応は歴史が古く、1988年に車いすユーザー団体(当アクセシブルが当時サポート)を受け入れたことから始まりました。当日はまだバリアフリーという言葉が浸透しておらず、ハンディキャップ対応という言葉を使われていたようです。2002年に現在のユニバーサルルームが新設され、2007年にはホテルの敷地内に補助犬専用のトイレを設置しました。30Fのデラックスルーム階に、ユニバーサルルームが10室用意されてます。では、ここから実際のお部屋見学です。

ユニバーサルルーム全体
入口の幅は広く(85cm)、車いすで斜めからでも入れます。

開口部をバスルーム側に寄せ、車いすの退避スペースをとってあり、ドアノブではなく、バーハンドル仕様にすることで、握力が弱い方でも楽に開けることたできます。また、液晶ドアスコープでは、車いすに座ったまま来客の確認ができます。電灯、エアコン等のスイッチは、車いすの方でも操作しやすく、見た目も自然な低い位置に設置されてます。

バスルームに多くの工夫があり
入口の段差をサポート
バスタブ内の滑り止めやサイドバーも完備
イスにすわったままシャワーが浴びれるイスも完備
見えにくい方用にボトルにゴムをまく工夫があり(シャンプー2本、コンディショナー1本、ボディーソープ0本)
起き上がりサポートのあるベッド
覚障害者用に来客や緊急時に情報を表示させる電光パネル
補助犬ユーザー用に水とえさのボウル、マットの貸し出しもあり
客室⇔客室、客室⇔フロント、客室⇔ルームサービスの双方向で筆談ができるタブレット

その他、ドアクローザー(軽い力で開き、締まるときには途中までゆっくり、最後はしっかり閉まる)、アームチェア(電動立ち上がり機能のある京王プラザオーダーメイドのチェア)、音声情報案内装置(ホテル内で音声案内ができる装置)、デスクには足元スペースが確保されていたり、電源やLANケーブル、ポット・お茶のセットが手前に設置されていたり、デスク下に隠れたくぼみがあり車いすでも寄り付きやすい工夫が見られました。様々な障がい者用のサービスのご用意がありますが、実際ご予約時に要不要をヒアリングし、その人に必要なセッティングで障がい者をお迎えしているようです。勿論、全てリクエストしたとしても客室料金に含まれており別途費用はかかりません。

また、客室外ですが、補助犬専用のトイレスペースがありました。こちらは日本で初の対応だそうです。

正面玄関前にある補助犬専用トイレ

YUKORINから一言

私がユニバーサルルーム見学で一番感動したのは、デスクの下の“くぼみ”です。机に手を引っかけるところがあると、車いすのタイヤを漕がなくても、すっと簡単に机につけます。もちろん電力を使ったハイテクなサポートグッズも素晴らしいのですが、ハイテクでなくでも、快適に過すためのちょっとした工夫ってあるんだ!と逆に学ばしてもらいました。このユニバーサルルームは、様々なきめ細かい心配りを感じられる素敵なお部屋です。

今回こちらのイベントに参加して、介助犬のデモを実際に拝見したり、手話を学んだり、障がい者の立場に立ってみたり、非常に細かな障がい者に対するサービスを提供されている京王プラザホテル様のユニバーサルルーム、模範的な障がい者対応を拝見する貴重な機会でした。年に1回開催されているイベントですので、皆さまも是非参加してみては如何でしょうか?

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